臨死体験が教える生の価値

死を意識することの重要性

私たちは皆、必ず死を迎えますが、普段どれくらいそのことを意識しているでしょうか。多くの人は死を遠い未来のことと考えていますが、実際には命がいつ終わるかは誰にも分かりません。明日も生きているかは誰にも分からず、人生は一度きりでやり直しは効きません。

死の恐怖から逃れるために、死後の世界や魂、神という観念を作り出してきましたが、これらの幻想は現実の生を曇らせることがあります。本当は、死の先には「無」が待っているという現実があるだけです。この避けられない事実を直視し、受け入れることが、充実した人生を生きる第一歩です。

ハイデガーの「死の先駆的覚悟

哲学者ハイデガーが唱えた「死の先駆的覚悟」は、死の存在を自覚することで初めて人は自分自身の人生を真に生きることができるとしています。死と向き合うことで、自分の限りある命の時間をより意識するようになり、これまでの人生を振り返り、本当に大切なものに集中することができます。その結果、私たちは自分の本質に立ち返り、心から納得できる生き方を選ぶことができるのです。この「死の先駆的覚悟」を持つことで、人生の一瞬一瞬がどれだけ貴重であるかを再認識し、充実感を持ちながら生きることができます。

さらに、死の存在を受け入れることにより、自分自身の限界を知り、それが自分の行動をより目的に向かわせる力となります。この覚悟は、人生におけるさまざまな選択や判断において、本当に価値があることに集中する手助けとなります。日常の些細な不安や恐れを乗り越え、本当に意味のある経験や関係性を築くことに専念できるようになります。また、この姿勢は、私たちが他者と接する際にも現れ、深い共感や思いやりを持った行動が可能になります。死の現実を見据えることで、人生の意味を再発見し、深い満足感とつながりを感じながら日々を送ることができるのです。

臨死体験と生きる意味

死を真剣に考えることは、生きる意味を見つめ直す重要な機会です。臨死体験を通じて死を仮想的に体験することで、生の一瞬がどれほど貴重かを再認識できます。こうした体験を通じて、日々見失いがちな大切なことに気づき、今をより大切に生きることができます。臨死体験は私たちに、自分がどれだけ多くの時間を無駄にしてきたか、そして本当に大切なものは何であるのかを鮮明に理解させてくれます。この理解を通して、私たちはこれまで無意識に過ごしていた日常の一瞬一瞬を新たな目で見つめることができるようになります。そして、それは単なる気づきにとどまらず、実際の行動にも反映されるようになります。たとえば、家族や友人との時間をこれまで以上に大切にし、自分が情熱を持って取り組めることにもっとエネルギーを注ぐようになります。また、過去の失敗や未練を引きずることなく、今の瞬間を充実させることができるのです。こうした姿勢が、私たち自身の幸福感を高めるだけでなく、周囲の人々との関係性をも向上させ、共により良い人生を築く力となります。

死後の世界と「今」を生きること

死後の世界や魂の存在に対する考え方は、私たちの生き方に大きな影響を与えます。
私たちは科学的に考えたうえで死後は全くの「無」であるととらえています。
死後の世界も救済も神も仏も何もない全くの「無」です。
死を「無」として受け入れることで、私たちは無駄な幻想にとらわれることなく、より純粋に「今」を生きることができます。死後の世界の幻想は、死の恐怖から生まれたものであり、それによって私たちは現実の「生」を見失ってしまうことがあります。こうした幻想は、不安や恐れを和らげる一方で、私たちが現在の生を十分に生きることを妨げることがあります。死という避けられない事実を「無」として受け入れることで、私たちは幻想や妄想から解放され、今という瞬間に集中することができるのです。この姿勢は、人生の各瞬間をより豊かに、意味深いものとする手助けとなります。

「無」に帰るという現実を受け入れることは、私たちにとって非常に重要な転機となります。この考え方は、過去や未来にとらわれずに、目の前の出来事や経験に全力で向き合う姿勢を育てます。それにより、私たちは人生の中で本当に大切なものに気付き、価値を見出すことができるのです。こうして、日々の些細な出来事や、人とのつながりをより大切に感じ、人生全体の質を向上させることが可能になります。死を受け入れることは、ただ消極的に受け止めるのではなく、私たちの生を積極的に活かすための鍵となるのです。

自覚を持って生きる

「死の自覚」を持つことで、私たちは今この瞬間を無駄にせず、本当に意味のある行動を選び取ることができます。死から逃げずに向き合うことで、私たちは執着や妄想から解放され、より自由で豊かな人生を生きられます。死という不可避な事実に向き合うことは、私たちに勇気を与え、これまでの価値観を見直し、日常の何気ない瞬間に深い感謝と意義を見出す手助けとなります。この過程を通して、自分の存在意義や、何が本当に大切であるかを再確認することができ、結果として他人との関係性もより深いものになります。死の現実を受け入れたとき、私たちは他者に対してもより優しく、思いやりを持って接することができるようになり、そのことがまた、私たち自身の生をより豊かなものにするのです。

セミナーのご案内

私たちのセミナーでは、臨死体験瞑想や「死を通じて生を見つめる」プログラムを提供しています。これらのプログラムは、死という避けられない現実を深く理解する機会を提供します。こうした体験を通じて、本当に大切なものを再認識し、人生をより意義あるものにできます。

この機会に、ぜひ私たちのセミナーに参加し、「死を通じて生を見つめる」時間を過ごしてみてください。死の現実を受け入れることで得られる新たな生きる力と深い満足感を、私たちと共に体験しましょう。

やる気がない時の行動選択

思考と感情に左右されない行動

多くの人は「やる気がないから動けない」「気分が乗らないから今日はやめておこう」といった理由を使い、行動しないための言い訳にしています。しかし、これは単なる言い訳、理由付けにしか過ぎません。実際のところ、思考や感情は行動を支配しません。行動が本当に不可能なのは、物理的にできない場合に限られます。

例えば、「足を骨折したから歩けない」というのは物理的な制約です。一方、「やる気がないから外に出られない」というのは思考や感情が理由の制約であり、実際には行動することが可能です。このように、物理的な制約と感情の制約は全く異なります。例えば、気分が乗らなくても、友人との約束があれば外出することができる場合もあるように、感情が行動の絶対的な制約ではないことが分かります。これは「できない」と「しない」の混同です。

布団に横たわっている状況でも、急に火事が起これば、どんなに気分が乗らなくても飛び起きて外に出るでしょう。つまり、行動は思考や感情に関わらず選択できるのです。もちろんやる気があって行動できるのは望ましいですが、やる気が出るかどうかはその時々の感情次第です。やる気が出るのを待ってからしか行動できないのならば、感情をコントロールすることが必要ですが、感情を完全にコントロールするのは難しいものです。そもそも思考や感情をコントロールすることが苦悩を深めることを、これまでブログで書き続けてきました。まさにそのことを言ってるのです。

自分への問いかけと行動の選択

思考や感情に対する誤解を解くために、「やる気がないからできない」と感じたときには自分に問いかけてみてください。「例えば、過去にやる気がなくても行動した結果、うまくいった経験はないか?」といった具体的な成功事例を思い出し、それを参考に行動することで、より実践的に行動できるようになります。また、「これは本当にできないのか、それともやらない選択をしているだけなのか?」と問いかけることも有効です。ほとんどの場合、物理的な制約がない限り、やらないのではなく、やろうとしないだけです。このように行動に対する認識を変えると、思考や感情に左右されず、自分の意志で行動できる可能性が広がります。

思考や感情を受け入れて行動する

実際、思考や感情が行動を制約することはありません。それらを意識しながらも行動することは可能です。例えば、気分が乗らないときでも短時間だけ作業を始めてみる、あるいはタスクを小さく分けて一つずつ取り組むなど、具体的な行動方法があります。「やる気がない」と感じるときや「気分が落ち込んでいる」と思うとき、その感情を受け入れつつ(これまでのブログに書いていたように、これをアクセプタンスといいます。完全に受け入れることです。)も価値ある行動を選び続けることができます。このような行動は、思考や感情を避けたり変えたりするのではなく、それらを抱えたまま、つまりアクセプタンスしたまま前に進むという選択です。

これを繰り返すことで、私たちは思考や感情と適切な距離を取ることができ、感情に振り回されずに価値に基づく生き方が可能になります。

「ニューヒューマン」とは何か

多くの人は、思考や感情に振り回されて行動が制限されていると感じていますが、実際にはこれらは単なる脳の反応に過ぎず、私たちを支配するものではありません。感情はそのままにして行動することで、どのような絶望的な感情があっても、やるべきことを選び取ることができます。

私たちの目指す「ニューヒューマン」とは、このように思考や感情の影響を受けつつも、それに支配されることなく、自分の価値に基づいた行動を選び取る人です。例えば、仕事でプレッシャーを感じても自分の目標に向かって一歩ずつ行動を続けたり、ストレスを感じながらも家族との時間を大切にするなど、感情を抱えながらも価値に沿った行動を選び続ける姿勢が「ニューヒューマン」の特徴です。

この生き方を通じて、私たちは思考や感情をただの現象として受け入れ、真に充実した人生を歩むことができるのです。

思考と感情の受け入れ方:新しいアプローチ

多くの人は、感情や思考をコントロールしようと試みます。それは一時的に安心を得られるからです。しかし、私たちがもがけばもがくほど苦しみは深まります。これは、溺れた人が必死にもがいてさらに沈んでしまう状況と同じです。実際には、もがかずに水に身を任せることで体が浮かび上がり、救われるのです。アクセプタンスも同様で、完全に受け入れることによって初めて私たちは自由になれます。

アクセプタンスとは、試しに少しだけ受け入れることでも、一部を受け入れることでもありません。完全に受け入れることが必要です。私たちの思考や感情は、コントロールできるものではありません。それを無理にコントロールしようとすること自体が、さらなる苦しみを生む原因です。私たちはこれまで、感情に対してもがくことで何とか乗り越えようとしましたが、実際にはそのもがきが状況を悪化させてきました。つまり、同じことを繰り返し、根本的な解決には至らないのです。

思考や感情は脳の活動の結果生ずる「単なる思考や感情」であって、自分の外に実体として存在するものではないのです。
実体として存在しないことは、これら思考や感情は幻想や妄想の類と同じなのです。
どんなに事実で実体があるように見えても、あなたの頭の中の出来事にすぎません。

アクセプタンスの本質は、感情や思考に対して無理に抵抗せず、その存在をただ受け入れることです。例えば、怒りや悲しみ、不安といった感情が湧き上がったとき、それを抑え込んだり変えようとするのではなく、ただそのままに受け入れることが大切です。感情が浮かんでくるのは自然なことです。しかし、それに対して抵抗することで、苦しみは強まり、さらに深い葛藤を生むのです。

私たちは思考や感情をコントロールするのではなく、観察し、受け入れることで、その苦しみに振り回されずに価値に基づいた行動を選べるようになります。感情を完全に受け入れ、コントロールしようとしないことが、心の自由を得るための鍵なのです。これは、感情や思考と戦わないこと、むしろそれらと共に歩むことを意味します。

例えば、仕事や人間関係でのストレスが溜まったとき、無理にポジティブになろうとせず、「今、こう感じている」という事実をただ受け入れることが重要です。そうすることで、感情に引きずられることなく、自分が大切にしている価値に基づいて行動できるのです。

私たちが提唱する「ニューヒューマン」は、このアクセプタンスを通じて、思考や感情に囚われず、ライフ・ヴァリューに従って生きることを選択できる人々です。彼らは、どんなに絶望的な状況であっても、それを乗り越えようともがくのではなく、感情を完全に受け入れることで、自然と価値に基づく行動を選べるようになるのです。

アクセプタンスは、感情と戦わずに受け入れ、そこから自分のライフ・ヴァリューに従って行動できる方法です。これにより、私たちは感情の波に飲み込まれず、自由で充実した人生を送ることができるのです。興味を持たれた方は、ぜひ私たちのセミナーでこのアプローチを学び、感情との新しい向き合い方を体験してみてください。

がん細胞のような人類と未来への希望

「人類を愚かなサルども」と呼ぶことに抵抗を感じる人は多いかもしれませんが、私たちがこれまでに行ってきた行動を振り返ると、この表現は決して過激ではありません。戦争、差別、環境破壊、そして地球資源の浪費。私たちは地球という舞台に、まるでがん細胞のように振る舞ってきました。人類は、がんのように自己中心的に増殖し、周りの環境を破壊し続けています。しかし、この破壊的な行動を続けた結果として、未来には絶望的な結末が待っていることを忘れてはいけません。

がん細胞は通常の細胞とは異なり、自己増殖を優先し、周りの組織を破壊します。この行動は、私たちが地球で行ってきた振る舞いと酷似しています。しかし、科学的知見によれば、ごくまれにがん細胞が正常な細胞に戻ることがあります。これは「分化誘導」と呼ばれるプロセスで、細胞が誤った増殖を修正し、元の健康な状態に戻ることを意味します。このプロセスは、私たちが未来に目指すべきニューヒューマンの姿を象徴しています。

ニューヒューマンとは、単なる個人の幸福や利益を超えて、地球全体の調和や持続可能性を考え、行動できる存在です。彼らは、自分たちだけの利益を追求する愚かなサルとは異なり、地球や他の生命との共生を重視します。ニューヒューマンは、地球環境や他の生物への配慮を第一に考え、持続可能な未来を築くために行動する、新しい人類の形です。

私たちががん細胞のような自己中心的な行動を続けていては、未来は絶望的です。しかし、ニューヒューマンのように正常な細胞に戻り、他者や自然との調和を目指すことで、未来には新たな希望が生まれます。ニューヒューマンは、思考や感情に支配されることなく、価値ある行動を選び取ります。彼らは、どんな困難や苦悩に直面しても、それを単なる思考や感情と認識し、自分の価値に基づいて行動する力を持っています。

そして、ニューヒューマンはただ自分のためだけではなく、地球全体の未来を見据えています。私たちが今、この道を選び取らなければ、人類の未来は不確かなものになります。ニューヒューマンこそ、私たちがこれから育て、広めるべき存在であり、彼らこそが地球と人類にとっての最後の希望なのです。

未来を築くためには、綺麗事ではなく、現実を直視し、行動を変えていくことが不可欠です。綺麗事を声高に主張する人こそ現実を放置して問題を先延ばしてきた張本人たちなのです。ニューヒューマンのように、地球や他の生命との共生を大切にする新たな生き方を選び取ることこそ、今後の人類の進化の道なのです。

目標達成だけではない人生の価値

私たちはよく「目標を達成すること」が人生の成功や幸福につながると考えがちです。もちろん、ゴール(目標)を達成することで達成感を得たり、人生の方向性を定めたりすることができます。しかし、ライフ・ヴァリュー(価値観)はゴールとは異なる概念です。この違いを理解することで、私たちの行動の本質がよりはっきりしてきます。

ゴールとは何か

ゴールとは、具体的な結果や達成点のことです。たとえば、「昇進する」「家を買う」「資格を取る」など、明確な終わりがあり、それを達成したときに成功や満足感を感じるものです。ゴールは短期的なものであり、一つ達成すれば次のゴールを設定するというサイクルが続きます。つまり、ゴールは一時的な達成を目的としたものです。

しかし、ゴールを達成しても、その満足感は一時的なものであり、その後に次のゴールを追い求めることになります。このため、常に何かを達成し続けなければならないというプレッシャーを感じやすくなります。

ライフ・ヴァリューとは何か

一方、ライフ・ヴァリューとは、私たちの生き方や行動を導く持続的な価値観のことです。これは、特定の結果や終着点ではなく、一貫して追い続ける信念のようなものです。たとえば、「他の人に優しくする」「正直である」「自分を成長させ続ける」といったライフ・ヴァリューは、いつでも私たちの行動を方向付けるガイドとなります。

ライフ・ヴァリューは時間が経っても達成されるものではなく、常に私たちの行動の根底にあるものです。ゴールが一時的なものであるのに対して、ライフ・ヴァリューは人生全体を通じて私たちの行動や選択に影響を与え続けます。達成が目的ではなく、日々の行動や選択がその価値に基づいているかどうかが大切です。

ゴールとライフ・ヴァリューの違い

具体的な違いを以下にまとめます。

  • ゴール: 達成するための具体的な目標(短期的)。達成したら終わり。結果が重要。
  • ライフ・ヴァリュー: 方向性や信念(長期的・継続的)。達成が目的ではなく、日々の行動に影響を与える価値観。行動がその価値に沿っているかが重要。

たとえば、「健康的な生活を送る」というライフ・ヴァリューに基づいて、「毎日30分運動する」というゴールを設定することができます。ゴールは達成されるかもしれませんが、ライフ・ヴァリューはその後も私たちの行動の基盤となり続けます。もしゴールが達成できなくても、ライフ・ヴァリューに基づく生き方は変わりません。

ライフ・ヴァリューを持つことで思考や感情に振り回されない

私たちは日常の中で様々な思考や感情に直面します。不安や恐怖、絶望を感じることもあるでしょう。しかし、そうした思考や感情は単なる脳の働きに過ぎず、私たちの行動を完全に支配するものではありません。ライフ・ヴァリューに基づいて行動することで、思考や感情に振り回されることなく、自分にとって大切な生き方を続けることができます。

やる気があるときは行動しやすいですが、やる気がないときでもライフ・ヴァリューに従うことで行動を続けることが可能です。たとえば、疲れていても「家族との時間を大切にする」というライフ・ヴァリューがあれば、疲れていても家族と話したり一緒に過ごしたりすることを選びます。

ライフ・ヴァリューは、私たちが人生を通して追い求める価値観や信念であり、ゴールとは異なります。ゴールは短期的な達成を目指すものですが、ライフ・ヴァリューは人生全体の方向性を定め、どんな状況でも私たちを導いてくれるものです。どんなに困難な状況にあっても、ライフ・ヴァリューは北極星のように私たちに方向を示し続けます。思考や感情に振り回されず、ライフ・ヴァリューに基づいて行動することで、私たちはより充実した人生を歩むことができるのです。

私たちの団体では、このようなライフ・ヴァリューに基づく生き方を大切にし、日常の思考や感情にとらわれず、価値ある行動を選び取る力を育てることを目指しています。

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感情に振り回されない行動術

やる気がなくても行動できる

私たちは、日常生活の中で「やる気がある時にだけ行動する」と思い込んでいます。確かにやる気がある時には、自然と行動に移せることが多いでしょう。しかし、この考えは贅沢品に依存しているのと同じです。やる気を待っているだけでは、限られたチャンスを逃してしまうこともあります。現実には、やる気がない時でも人は行動できるものですし、むしろやる気がないからこそ重要な行動が必要な時もあります。例えば、やる気が出ない朝でも決めた運動を続けることや、気が進まなくても大事な仕事を始めることなど、やる気がなくても行動することで得られる成果が大きいことが多いです。

感情と行動の関係

例えば、誰かを「殴りたい」「攻撃したい」と感じても、実際に行動に移すことはほとんどありません。これは、思考や感情が行動を完全に支配しているわけではないことの証です。もし本当に思考や感情に支配されていたなら、私たちはすでに多くのトラブルを引き起こしているはずです。これは他の例にも当てはまります。例えば、面倒くさいと感じる仕事を後回しにしたいと思っても、締め切りがあるからこそ行動することができるように、感情に逆らって行動することが私たちの生活の中で頻繁に行われています。

思考や感情に振り回されないために

思考や感情は、行動に影響を与えることはありますが、決して支配するわけではありません。思考や感情は日々変化し続け、必ずしも安定したものではありません。湧いて出てきていつかは消える雲のようなものです。それに振り回されていると、本来の行動が阻害されてしまいます。私たちは、こうした思考や感情を単なる「脳の活動」であり、事実とは異なるとして受け流し、自分の価値ある方向に向かって進むことが重要です。例えば、勉強したくないという感情があっても、それが一時的なもの、単なる思考や感情にすぎないことであることを理解し、その感情に流されずに行動することで、長期的な目標に向かって進むことができます。このように、思考や感情を適切に受け流すことで、自分にとって意味のある行動を選択し続けることができるのです。

行動がやる気を引き出す

やる気の有無にかかわらず、私たちは行動できるのです。重要なのは、思考や感情にとらわれず、自分にとって本当に意味のある行動を選択することです。このような行動の積み重ねが、自分の目標達成に繋がり、人生においての満足感を得るための鍵となります。この生き方を身に付けることで、人生をより活き活きと歩んでいくことが可能になります。さらに、やる気が出ない時でも行動する習慣を持つことで、次第にやる気そのものも向上することがあります。これは、行動がやる気を引き出す一つのサイクルとなり、私たちの生活全体を前向きに変える効果を持っています。

マインドフルネスで思考を受け入れる方法

私たちが日常的に見たり感じたりするものは、単なる「モノ」ではなく、私たちの脳が作り上げた解釈や評価が加えられたものです。例えば、嫌いな人や不安を感じる物事に対して、私たちはそれらを単なる「事実」ではなく、脳が作り出した「評価」として捉え、それに苦しみを感じます。実際には、そこにはモノがあるだけで、そこに加えた意味や感情はすべて私たちの脳が作り上げたものに過ぎません。

この世は

モノがあって、モノが動いているだけ

モノが事実であり、意味も理由も評価も価値も何もない無色透明なものです。

しかし、私たちはこの「意味付け」と「事実」を一緒にしてしまい、脳内で作られた思考や感情を現実そのものと信じ込んでしまいます。この状態を「フュージョン」と呼び、これが強くなると、私たちは思考や感情に振り回されやすくなります。不安や恐怖、後悔などの感情が自分を支配し、行動を制限してしまうのです。

そのため、私たちが目指すのは「デフュージョン」、つまり思考や感情と事実を切り離し、それらが単なる脳が作り出したものだと認識することです。たとえば、何かに対して不安を感じたとしても、それはただの感情に過ぎず、現実とは異なるものであると知ることで、その不安に支配されずに行動することができます。
それには、マインドフルネスの技法を使用します。

思考や感情をコントロールすることはできません。私たちはそれに対して抵抗したり、無理に消そうとするとかえって苦しみが増すことを知っています。それよりも、それを「ただの思考や感情」として受け入れ、それに振り回されることなく、自分が本当に望む方向に行動することが重要です。

例えば、溺れそうなときにもがくと、さらに沈んでしまいますが、何もしないで体を浮かべれば助かるのと同じように、思考や感情も抵抗せずに受け入れることで、私たちは自由に生きることができるようになります。

このような訓練を通じて、私たちは思考や感情に振り回されることのない、活き活きとした人生を歩んでいきます。人生は一度きりで、宇宙から見ればほんの一瞬の出来事です。その奇跡のような時間を、無駄にせず、自由で充実した人生を生きていきましょう。

不安にもがいているあなたを助ける唯一の方法

日々の生活で、私たちは思考や感情に振り回されがちです。特に、苦しい時や困ったことに直面した時、私たちがそれらをコントロールしようとするのは自然な反応であり、心理的なストレスや不安を軽減しようとする試みでもあります。
そして、不安や絶望、イライラなどネガティブな思考や感情が強い時、私たちはこれらをコントロールしようとしてもがくでしょう。

しかし、実際には思考や感情をコントロールすることは難しく、それに逆らおうとすると、かえってその影響が強まることが多いのです。私たちの心は、往々にして過去の出来事や未来の不安にとらわれ、現在の瞬間を生きることが難しくなります。ここでは、思考や感情がコントロールできないことを示すエクササイズを5つ紹介し、その代わりに「受け入れること」の重要性を説明します。心の中の嵐を受け入れることができれば、私たちはより良い自己理解を得ることができ、結果として心の安定を取り戻す手助けとなるでしょう。

  1. 「赤い象」を考えないエクササイズ
    「赤い象を考えないでください」と言われたとき、あなたの頭の中に何が浮かぶでしょうか?多くの人は、かえって赤い象のイメージが頭に残るはずです。これは、思考をコントロールしようとすることで、その思考が強く意識に浮かび上がるためです。私たちの脳は、意識的に何かを「考えないようにする」ことができないのです。
  2. 「ポジティブな感情に置き換える」エクササイズ
    例えば「私は宇宙一幸せだ」と考えてみましょう。そうしようとすればするほど、実際には逆に自分の悩みや苦しみが思い浮かんでくることがあるはずです。ポジティブな感情に無理に置き換えようとすると、その反動でネガティブな感情が浮かんでくるのは、多くの人が経験していることでしょう。
  3. 「忘れる」エクササイズ
    何か辛いことや過去の後悔を「忘れよう」とすればするほど、かえってその出来事が思い出されてしまいます。たとえば、辛かった出来事を無理に忘れようとすると、その場面がより鮮明に浮かんでくることがよくあります。これは、無意識にその思考を強化してしまうからです。
  4. 「不安を感じないようにする」エクササイズ
    何か大事な予定の前に「不安を感じないようにしよう」と決心しても、その決意をすることで逆に不安が増してしまうことがよくあります。不安を消そうとすること自体が、不安を強める原因になってしまうのです。
  5. 「未来の心配をなくそうとする」エクササイズ
    将来についての心配を「何も心配しないようにしよう」と試みると、逆にその心配が頭を占めてしまいます。たとえば、次の日の大事なプレゼンや試験について心配しないようにしようとしても、心配がますます強まることがあります。

コントロールの無力さと受け入れの重要性
これらのエクササイズを通してわかることは、思考や感情をコントロールしようとするほど、それらに囚われてしまうということです。一時的にコントロールできたかのように感じることもありますが、長期的には同じ思考や感情が何度も戻ってくるでしょう。もし本当にコントロールできるなら、過去に一度で済むはずなのに、なぜ今も続けているのでしょうか?これが、思考や感情をコントロールする試みが長期的には効果がないことを示しています。

受け入れることの意味
結局、私たちは思考や感情をコントロールするのではなく、受け入れるしかありません。どんなに現実のように思えても、それは頭の中のものに過ぎず、現実そのものではありません。思考や感情が湧き上がることを自然な現象として受け入れることで、逆にそれらに対する反応を変えることができます。

もがくのをやめて、浮かび上がる
溺れているときにもがけばもがくほど、より深く沈んでしまうのと同じです。しかし、もがくのをやめて何もしないでいると、浮かび上がって助かることができます。これは、直感に反するように感じるかもしれませんが、私たちの心でも同じことが言えます。思考や感情に抵抗せずに、それを受け入れることで、私たちは次第に浮かび上がり、活き活きとした人生を歩むことができるようになるのです。
受け入れる、つまり「アクセプタンス」は人生においてとても重要なことなのです。


受け入れることは、これまで私たちが習得してこなかったスキルであり、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、この訓練を続けていくことで、思考や感情に振り回されず、自分自身の行動に集中できるようになります。

活き活きと生きるための選択

人生に避けられない苦しみとの関わり方

これまで何度もお伝えしてきたように、私たちが一般的に思い描くような、「苦しみのない完全な幸せ」は、現実には存在しません。なぜなら、人生には生老病死といった四苦八苦が最初からセットされているからです。これらの苦しみは、生きることへの代償と言えるかもしれません。

しかし、問題はそれ自体に直面することではありません。四苦八苦は誰もが避けられないものだからです。重要なのは、そうした苦しみに直面したときに、どのように向き合うかです。これこそが、人生をより良くするか、逆に台無しにするかの大きな分かれ目となります。

多くの人は、苦しみと出会ったとき、身動きが取れず、苦痛を苦痛以上に感じてしまいます。さらに悪いことに、それに伴う思考や感情を何とかしてコントロールしようと躍起になることがあります。

コントロールは本当の解決策ではない

思考や感情をコントロールしようとする試みは、たとえ一時的に効果があるように感じられたとしても、実際には根本的な解決にはなりません。コントロールする努力は、その場しのぎでしかなく、毎回同じ苦しみに出会うたびに、また同じことを繰り返してしまいます。これは「コントロール」とは言えず、長期的には効果がないばかりか、人生の貴重な時間を浪費してしまいます。

私たちが伝えたいのは、苦しみは人生にそもそも存在するものであり、それを否定して逃げようとするほど、苦しみはさらに増大するということです。現実を否定することは、かえってその苦しみを深める結果になります。

苦しみを受け入れ、価値ある生き方を選ぶ

ここで重要なのは、苦しみそのものを排除するのではなく、それとどのように関わるかです。苦痛を苦悩に変えることなく、それに伴う思考や感情が単なる脳の活動、つまり「妄想」に過ぎないと認識することが必要です。そして、そうした妄想に振り回されることなく、自分にとって価値ある方向に進んでいくことが、真の意味で生き生きと生きることなのです。

私たちが目指しているのは、苦しみや不快な感情を完全に取り除くことではありません。むしろ、それらを**完全に受け入れる(アクセプタンス)**ことで、苦しみや感情に影響されることなく、自分にとって大切な方向に向かって行動することが重要です。

活き活きとした人生を歩むために

私たちの人生には、苦しみや不快な感情が避けられません。しかし、それらに対してどう向き合うかによって、私たちの生き方は大きく変わります。思考や感情をコントロールしようとするのではなく、それを単なる現象として受け入れ、自分の価値に基づいた行動を選択する。これこそが、活き活きと生きるための鍵なのです。

私たちは、このような生き方を目指し、自己変革を進めています。苦しみを排除するのではなく、それを受け入れ、自己の価値に従って進むことで、人生をより豊かに、充実したものにしていくことができるのです。

思考や感情はコントロールできない

私たちの思考や感情は、私たちが望んだ瞬間に生まれるわけではありません。突然、何の前触れもなく不安が襲ってきたり、怒りが込み上げてくることがあります。この時、多くの人はこれらの思考や感情をコントロールしようとしますが、実際にそれが成功したことがあるでしょうか?おそらく、ないはずです。コントロールすることが可能だと信じている人もいますが、もしそれが本当にできるのならば、なぜ未だに挫折や絶望、苦しみが私たちの生活に存在しているのでしょうか。

コントロールすることの限界

思考や感情をコントロールしようとする努力は、実は逆効果です。それはブーメランのように戻ってきて、さらに大きな負荷をかけます。例えば、嫌なことを忘れようとすればするほど、そのことが頭から離れなくなる経験をしたことがあるでしょう。これが、私たちが思考や感情をコントロールしようとしたときの典型的な結果です。

また、思考や感情をコントロールしようとしている時、私たちはその瞬間、人生の時間を止めてしまっているのです。本来、私たちは現実に即して行動し、成長していくべきなのに、思考や感情をどうにかしようとすることで、現実に対処することから逃げてしまっています。

思考と感情を受け入れるという選択肢

では、どうすれば良いのでしょうか?答えは簡単です。思考や感情をコントロールするのではなく、単なる現象として受け入れるのです。思考や感情は、あくまで私たちの脳が生み出したものであり、事実そのものではありません。それらは、現実に対する「解釈」に過ぎず、私たちがどう反応するか次第で、その影響も変わります。

思考や感情をただの妄想として受け入れると、どんなに強い感情が生じたとしても、それに振り回されることがなくなります。これにより、思考や感情が私たちの行動に影響を与えることはあっても、それが行動を支配することはありません。

行動は自由に選択できる

たとえネガティブな思考や感情が生じたとしても、それに左右されずに行動することができます。これは、私たちが日常的にすでに行っていることです。例えば、誰かに対して怒りを感じたり、攻撃的な思考が浮かんだとしても、実際にその人を傷つける行動に移すことはありません。思うこととすることは別であるという点は、私たち自身がすでに理解していることです。

思考や感情が強くなると、それが現実であるかのように感じることがあります。しかし、それらはただの一時的な現象であり、私たちの行動を決定づけるものではないのです。思考や感情に流されるのではなく、自分の価値や目標に基づいた行動を選び取ることで、より自由で豊かな人生を送ることができます。

コントロールを手放し、未来を広げる

思考や感情を無理にコントロールすることをやめると、私たちの未来は広がります。感情にとらわれることなく、冷静に状況を見つめることで、今まで見えていなかった選択肢が見えてくるのです。

現実は私たちの思考や感情に関わらず存在します。私たちができることは、それらを認識しつつも、それに支配されずに行動することです。たとえ困難な状況にあっても、自分の大切にしていることに基づいて行動すれば、未来はさらに広がっていきます。コントロールを手放すことで、私たちはより自由で、生き生きとした人生を歩むことができるのです。

この考え方を実践することで、私たちはどんな状況にあっても柔軟に対応し、自分らしい人生を切り拓いていくことができるでしょう。