思考と感情に左右されない行動
多くの人は「やる気がないから動けない」「気分が乗らないから今日はやめておこう」といった理由を使い、行動しないための言い訳にしています。しかし、これは単なる言い訳、理由付けにしか過ぎません。実際のところ、思考や感情は行動を支配しません。行動が本当に不可能なのは、物理的にできない場合に限られます。
例えば、「足を骨折したから歩けない」というのは物理的な制約です。一方、「やる気がないから外に出られない」というのは思考や感情が理由の制約であり、実際には行動することが可能です。このように、物理的な制約と感情の制約は全く異なります。例えば、気分が乗らなくても、友人との約束があれば外出することができる場合もあるように、感情が行動の絶対的な制約ではないことが分かります。これは「できない」と「しない」の混同です。
布団に横たわっている状況でも、急に火事が起これば、どんなに気分が乗らなくても飛び起きて外に出るでしょう。つまり、行動は思考や感情に関わらず選択できるのです。もちろんやる気があって行動できるのは望ましいですが、やる気が出るかどうかはその時々の感情次第です。やる気が出るのを待ってからしか行動できないのならば、感情をコントロールすることが必要ですが、感情を完全にコントロールするのは難しいものです。そもそも思考や感情をコントロールすることが苦悩を深めることを、これまでブログで書き続けてきました。まさにそのことを言ってるのです。
自分への問いかけと行動の選択
思考や感情に対する誤解を解くために、「やる気がないからできない」と感じたときには自分に問いかけてみてください。「例えば、過去にやる気がなくても行動した結果、うまくいった経験はないか?」といった具体的な成功事例を思い出し、それを参考に行動することで、より実践的に行動できるようになります。また、「これは本当にできないのか、それともやらない選択をしているだけなのか?」と問いかけることも有効です。ほとんどの場合、物理的な制約がない限り、やらないのではなく、やろうとしないだけです。このように行動に対する認識を変えると、思考や感情に左右されず、自分の意志で行動できる可能性が広がります。
思考や感情を受け入れて行動する
実際、思考や感情が行動を制約することはありません。それらを意識しながらも行動することは可能です。例えば、気分が乗らないときでも短時間だけ作業を始めてみる、あるいはタスクを小さく分けて一つずつ取り組むなど、具体的な行動方法があります。「やる気がない」と感じるときや「気分が落ち込んでいる」と思うとき、その感情を受け入れつつ(これまでのブログに書いていたように、これをアクセプタンスといいます。完全に受け入れることです。)も価値ある行動を選び続けることができます。このような行動は、思考や感情を避けたり変えたりするのではなく、それらを抱えたまま、つまりアクセプタンスしたまま前に進むという選択です。
これを繰り返すことで、私たちは思考や感情と適切な距離を取ることができ、感情に振り回されずに価値に基づく生き方が可能になります。
「ニューヒューマン」とは何か
多くの人は、思考や感情に振り回されて行動が制限されていると感じていますが、実際にはこれらは単なる脳の反応に過ぎず、私たちを支配するものではありません。感情はそのままにして行動することで、どのような絶望的な感情があっても、やるべきことを選び取ることができます。
私たちの目指す「ニューヒューマン」とは、このように思考や感情の影響を受けつつも、それに支配されることなく、自分の価値に基づいた行動を選び取る人です。例えば、仕事でプレッシャーを感じても自分の目標に向かって一歩ずつ行動を続けたり、ストレスを感じながらも家族との時間を大切にするなど、感情を抱えながらも価値に沿った行動を選び続ける姿勢が「ニューヒューマン」の特徴です。
この生き方を通じて、私たちは思考や感情をただの現象として受け入れ、真に充実した人生を歩むことができるのです。