私たちが日々感じるつらさや不安は、決して「思考や感情、症状が存在すること」そのものによって生じるわけではありません。むしろ問題となるのは、こうした思考や感情、あるいは身体的な症状に過度に囚われた結果、「本当にやってみたいこと」「歩んでみたい人生」から遠ざかってしまう状況です。人生において苦しみは避けられず、生きる上での代償ともいえます。しかし、その存在自体が苦痛の本質ではありません。そこにうまく対処できないことで人生を棒に振ってしまう点こそ、本当の苦しみだといえます。
苦しみを増幅させる要因
不安や悲しみなどの感情は、脳が生み出す自然な反応の一部です。それ自体を排除することは不可能ですし、必ずしも悪いものでもありません。しかし、「こんなことを感じるべきではない」「こんな症状があってはならない」といった考えを重ねることで、苦しみが増幅されてしまいます。こうした抵抗や拒絶が、行動を制限し、人生の選択肢を狭めてしまうのです。
妄想と現実を区別する
思考や感情は、脳内で生み出される一種のイメージや仮説のようなものです。これらを事実と混同してしまうと、「自分には価値がない」「将来は必ず失敗する」といったネガティブな見立てに支配されやすくなります。実際には、そういった考えや感情は一時的なものにすぎず、それ自体が絶対的な真実ではありません。まずは、「これは単なる脳の活動であり、事実そのものではない」と認識する力が重要です。
アクセプタンスとデフュージョンの実践
アクセプタンス(受容)とは、不安や症状といった不快なものを無理に排除せず、それらがある状態を一旦そのまま認める姿勢を指します。デフュージョンとは、自分が抱いている思考や感情に巻き込まれず、それを客観的に眺める方法です。この二つの技法を組み合わせることで、不安や症状があったとしても、やるべきことを実行する自由が生まれます。たとえば、「失敗が怖い」という感情を感じながらも、自分にとって大切な活動をあえて選択することで、恐れに支配されない生き方が可能になります。
ライフ・ヴァリューに基づく行動
苦しみとうまく付き合うためには、自分自身が本当に大切にしたい価値や目標を明確にすることが欠かせません。単に快楽やポジティブな感情を求めるだけではなく、「どのように生きたいか」という軸を持つことで、思考や感情が多少乱れても進む方向を見失いにくくなります。こうした価値観は、他者との関わりや社会との接点の中で具体化されていきます。
今を生きる姿勢
過去の後悔や未来への不安ばかりに気を取られていると、「今ここ」でできる行動が見えにくくなります。現在に集中することで、不安や症状があっても無理なく動き出し、望む人生を選び取るきっかけが得られます。結果として、苦しみの存在は消えなくとも、その影響力を弱め、自分が進みたい道を歩む余地が広がるのです。
苦しみとは、思考や感情、症状があること自体ではなく、それらに振り回されて人生の選択や行動を制限されてしまう点にあります。苦しみそのものは避けようのないものですが、それを正しく認識し、適切に対応する力を身につけることで、真に生きる道が開かれていきます。自分にとって大切な価値を見極め、今の瞬間に目を向ける姿勢を保つことが、思考や感情の影響から自由になるための大きな一歩です。
私たちとともに人生をよりよく生きてゆきましょう。
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