苦しみは自分が作り出している
多くの人が感じている「苦しみ」とは何でしょうか。それは、もしかすると私たち自身が作り出しているものかもしれません。私たちは、日々の出来事に対して解釈を加え、その解釈が感情を生み出し、時にはそれが苦痛をもたらします。しかし、その苦痛をさらに「苦悩」にまで拡大させているのも、実は私たちの思考や感情に対する執着です。
本来、この世界にはただ「モノ」が存在し、その「もの」が動いているだけです。しかし、私たちはその「モノ」に対して意味を与え、解釈を行い、その結果、さまざまな感情を生み出します。ある出来事に対して、苦しいと感じるのは、その出来事そのものが苦しみをもたらしているわけではなく、私たちの解釈によってそう感じているのです。
苦痛は避けられないが、苦悩に変える必要はない
仏教の教えには「四苦八苦」という言葉があります。生老病死や愛別離苦など、私たちが避けて通れない苦痛が人生には存在します。しかし、重要なのはその苦痛をどのように受け止めるかです。苦痛を苦痛として感じることは自然なことですが、その苦痛を「苦悩」にまで引き上げてしまう必要はありません。
「苦痛」とは、例えば身体的な痛みや感情的な辛さのことです。しかし、「苦悩」とは、それに対して私たちが自ら作り出す二次的な反応です。苦痛が存在すること自体は避けられない現実であり、それを問題視するのではなく、苦痛を苦悩に変えてしまい、身動きが取れなくなることこそが本当の問題なのです。
思考や感情をただの「思考や感情」として捉える
実際、私たちが感じている思考や感情は単なる反応に過ぎません。それは、出来事そのもの、つまり「事実」とは異なるものであり、私たちが後から付け加えた意味合いに過ぎないのです。このことを訓練によって理解し、思考や感情に振り回されないことが、自由で活き活きとした人生への第一歩です。
思考や感情をただの「思考や感情」として認識することで、どのような破滅的な考えが頭に浮かんでも、それが現実を決定づけるわけではないと気づくことができます。たとえ不安や恐れ、絶望のような感情が湧いてきたとしても、それとは関係なく、自分の価値に基づいた行動を選択することが可能です。このようにして、自分の人生をより価値ある方向に導くことができます。
活き活きと生きるために
活き活きと生きるとは、自分の思考や感情にとらわれず、価値に基づいた行動を取ることです。私たちは、自分自身の内面にある無意味な解釈や執着から解放され、より自由に行動することを目指すべきです。そして、そのためには訓練が必要です。
私たちは、その訓練と方法を提供することを目指しています。思考や感情に対する距離を持ち、それを現実と混同しないようにすること。そして、自分にとって価値ある方向に向かって進む力を育むこと。それが、苦しみから解放され、活き活きとした人生を送るための道です。
どんなに苦痛が伴う状況でも、それを苦悩に変えず、価値ある人生を歩むための道を一緒に模索していきましょう。